不動産業者の義務

不動産業者の義務について

 早く決めないと物件を他の人に取られてしまうとか、おとり広告と言って、ありもしない物件をさもあるかのように宣伝して、不動産業者の事務所に行ったら他の物件を紹介されたという話はよく聞きます。

 たしかに悪質な業者の手口です。しかし、誤解しないでください。業者のすべてがそういうことをするのではあり ません。どの業者もやるというような常套手段ではありません。

 確かに物件は限られています。それに対して借りたい人(消費者)は複数でしょう。不特定多数です。急がせる気持ちは理解できます。条件のいい物件ほど早く借り手がつくものなのです。

 業者は他の業者、営業マンにお客さんを取られたくないのです。そういうわけですから他の物件を紹介することはあります。それ自体悪いことではありません。業者は先ほどある方に申し込みされてしまいましたと正直に話せばいいのです。そのお客さんが誰かについては個人情報保護のため明かせません(捜査など正当な事由がない限り)。不動産業者は個人情報取扱事業者となります。たとえ従業員であっても、個人データを取り扱わせるに当たっては、当該個人データの安全管理が図られるよう、当該従業者に対する必要かつ適切な 監督を行わなければならないことになっています(個人情報の保護に関する法律21条)。

 権利の行使及び義務の履行について民法1条では、信義に従い誠実に行わなければならないと定めています。この信義誠実は業者が消費者に接する際に肝に銘じなければなりません。