無効になった敷引特約

敷引特約が無効になったケース

 敷引特約はご存知でしょうか。京都など、関西地方において聞かれることです。賃貸借契約書にある敷金の一部を返還しない旨の取り決めのことです。

 本来、敷金は賃借人に債務不履行がなければ全額が賃借人に返還されるはずのものです。それがどれくらい返ってくるか、賃借人にとっては重大な関心事ですよね。


 今回紹介するのは実際に起きた事件です。賃貸借契約終了時(退去時)に敷金の85%余りを返還されなかったのです。当然借主は怒りますよね。裁判ではこのような敷引特約は消費者契約法10条により無効とされました(京都地裁平成19年4月20日)。この裁判は控訴事件です。地方裁判所で行なわれた第1審の原判決を取り消して、請求が認容されたのです。
 
 消費者契約法10条は消費者の利益を一方的に害する条項が無効になるという規定です。尚、この法律における 「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く)のことです。