アメリカの幼児教育　世界の幼児教育

　

　アメリカでは幼児教育についてさまざまな選択肢が用意されています。またその中でアメリカがいかに幼児教育というものを重要であると考えているかが分かります。

　富裕層や平均以上の所得がある家庭では、私立・公立の幼稚園あるいは家庭教師などを利用していることがほとんどです。感情、認知、運動などあらゆる分野でバランスよく発達できるような教育が施されています。

　また低所得者層の家庭や移民家庭にはヘッドスタート（Head　Start）と呼ばれる就学援助のためのプログラムを政府が提供しています。これは子供が就学前に少なくともアルファベットが読めるように、10までの数が数えられるように、というのが目標になっています。2005年下半期には約2200万人の就学前の子供たちがヘッドスタートに参加しています。

　ヘッドスタート・プログラムのカリキュラムは、それぞれの子供に適切なものが設計されます。初期のヘッドスタートでは、出生以前の胎児の健康を考え、母親が健康的な妊娠生活を送れるように出産後の家庭の健康を配慮し、出産後に赤ちゃんが順調に発育していくことができるための支援を行います。その後のヘッドスタートでは、子供の自尊心、好奇心、自信、自己規律などを持つことを奨励します。そして両親がこうしたプログラムを理解し、中心的な存在になることで高い効果を実現させています。このプロブラムをへて、多くの子供たちが就学前に読み書きなどの実践的なスキルを習得することが可能となっています。

　ただしヘッドスタート・プログラムが必ずしもすべてうまくいっているわけではありません。行動の抑制ができない子供になり、集団行動の中で行動上問題がある子供に育つといった可能性があるという指摘もあるようです。

　しかしそういう面を考慮しても低所得者層や移民の家庭の多くの子供が経済的な理由のために幼児期に満足な教育を得られない不均衡を政府が主体となって改善していることは、とても価値のあるものと言えるのでしょう。



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