新ポスティングシステム成立 旧制度との比較や問題点

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 プロ野球でFA権を取得する前の選手が大リーグに移籍できる制度であるポスティングシステム。その新しいシステムが2013年12月17日に成立しました。この新ポスティングシステムがどのようなものであるか整理してみました。

 新ポスティングシステムの前にまずは旧制度のおさらいから。

旧制度のおおまかな流れ
1,FA権取得前の選手が大リーグへの移籍を希望し、球団が承認すれば、利用できます。

2,所定の手続き後、大リーグの球団からの入札を待ちます。

3,一番高い金額で入札した球団だけが選手との契約交渉ができます(選手の所属球団がOKを出した場合のみ、所属球団がOKを出さなければ選手は所属球団に残留)。

4,交渉の結果が成立すれば、移籍決定。成立しなければ残留。移籍が決定した際は、移籍先球団は入札した金額を移籍元球団に支払います。

旧制度の主な問題点
1,球団が承認しなければ利用できない
 球団にポスティング制度に応じる義務はありません。ですが、FAで大リーグに行かれると球団に補償金のようなものが支払われることがないので、FA権行使の期間が近づくとポスティングにOKサインを出す確率が上がってくるようです。

2,選手は一球団としか交渉できない
 選手の獲得を希望する球団があっても、色々な球団と話し合っていくということが旧制度ではできませんでした。落札後に球団が交渉を破棄しても他の球団と話ができません。実際にはなかったと思いますが、例えば、他の球団の強化を妨害するために契約する気がないのに高額な金額で入札。その後に交渉破棄ということもやろうと思えばできたようです。

3,選手自身の契約金に悪影響があるかもしれない
 交渉権を得るために多額の金額で入札することにより、それが負担となって選手に支払うお金に悪影響が出る可能性がありました(入札額はいくら高くなろうとそこから選手に支払われるという仕組みにはなっていません)。

 以上、旧制度を簡単におさらいしてみました。次に新制度です。

新制度の大まかな流れ
1,FA権取得前の選手が大リーグへの移籍を希望し、球団が承認すれば、利用できます。

2,球団は譲渡金を設定(上限 2千万ドル 約20億円)して、手続き

3,その譲渡金額を支払う意思がある全ての大リーグ球団が選手と交渉できる

4,交渉参加球団のいずれかと契約が成立すれば移籍決定。移籍にあたり移籍先球団は移籍元球団に譲渡金を支払う。どの球団とも契約が成立しなければ残留決定。契約が成立しない球団は譲渡金を支払う必要なし

新制度によりこんな変化が

1,選手と大リーグ側にとっては基本有利な制度
 松坂大輔投手やダルビッシュ有投手のように過去には5000万ドルを超えた入札額でしたが、それに上限が設定されました。これにより大リーグ球団は負担が減り、その分選手に払うお金に回す余地も出てくると思われますので、大リーグ球団、選手双方にとって有利です。

 また、譲渡金を支払う意思があれば、交渉に参加できるので、選手、大リーグ球団双方にとってチャンスが増えることとなります。

2,日本球団にとっては基本不利な制度
 現在、楽天の田中将大投手の大リーグ移籍が話題になっています。旧制度であれば、田中投手は松阪選手らの入札額を上回るのではないかと言われていましたが、上限が設定されたことにより、田中投手であっても楽天は2000万ドルしか得られません。単純に考えて、3000万ドルは損しています。このように日本球団にとってはビッグチャンスを潰される可能性があります。

 また、これまでと違って、金額を設定しないといけないという難しさもあります。これまでは大リーグ球団側で金額を決めていたのを日本球団側で決めていかないといけません。球団の設定金額が高過ぎるとどこも交渉に参加する球団が現れないかもしれません。この点は選手にとってもリスクです。

 新制度により、変化もありますが基本的に球団が承認しなければ利用できないという点は変わりありません。

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