労働契約の成立と内容の変更（就業規則による変更含む）

　労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者と使用者が合意することによって成立します。

　労働者と使用者が、労働契約を締結する際に、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとします。

例外
　労働契約で、労働者と使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分（就業規則に定められた条件に達しない部分は除く。達しない部分は就業規則に定める基準に従う）。

　労働者と使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができます。

使用者が、好き勝手に労働者の同意なしに労働条件を下げることができるわけではないのです。あなたはある日一方的に時給を下げられたりしていませんか？

　使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者にとって不利益な労働条件に変更することはできません。

例外
　以下の要件を満たしていれば、使用者が労働者の同意を得ずに就業規則を変更し、労働条件を変更できます。
●変更後の就業規則を労働者に周知させること。
●就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。

　労働者にとって、不利益な変更は原則同意が必要ですが、例外も認められています。合理的なものでなければ、同意なしの変更は出来ないわけですが、現実には、合理的とは思えないような変更を使用者が行うケースがあると思います。このような場合、撤回に使用者が応じなければ、労働者は無効を求めて裁判を起こす必要も出てくるでしょう。裁判となると費用や手間がかかり、二の足を踏む労働者も多いでしょう。労働契約があるとは言え、違反に罰則はありませんし、使用者による一方的な変更はなくらないように思われます。


例外の例外
　労働契約において、労働者と使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、就業規則変更の影響を受けません（就業規則の条件に達しない部分は、就業規則の条件に変更されます）。

　就業規則の変更手続きについては労働基準法の定めに従います。

法令＞労働協約＞就業規則＞労働契約

　労働契約において、就業規則の条件に達しない部分があるときはその部分は無効となり、就業規則の条件が適用される（就業規則より有利な条件であればそのまま）。

　就業規則の条件が法令や労働協約に反している場合、反している部分は法令や労働協約の適用を受ける労働者との労働契約に適用されません。