こんなときどうなる? にお答えします
Q、アルバイトでも有給休暇をもらえますか?
A、アルバイトでも6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には有給休暇が与えられます。ただし、所定労働日数が少ない場合は、フルタイムで働く正社員よりも与えられる日数が少なくなる場合があります。
アルバイト・パート、正社員といった肩書きに違いがあれ、どれも労働基準法上は労働者として扱われます。会社に「うちはアルバイトには有給を与えていない」と言われていても、労働基準法の要件を満たしていれば、有給は与えられます。会社の言い分を鵜呑みにしないようにしましょう。とは言え、バイトに有給を与えていないことが当たり前になっているような職場では、現実的に有給で休むのはなかなか厳しいかもしれませんが・・・
ちなみに、雇用保険、健康保険、厚生年金保険も、アルバイト・パートであれ一定の条件を満たしていれば適用されます。管理人は働いていたころ社会保険は正社員のものとばかり思っていましたが、実際は違っていて、正社員と同じくらいの時間働いていましたからこれらの保険の被保険者になる条件を満たしていました。有給も含めてもったいないことしたなー と思います。一度は有給で休んでみたかったよ。
今、正社員に負けないぐらい働いているアルバイト・パートの方は、自分が損していないか調べてみるほうがよいです。あなたが知らずに眠らせている権利があるかもしれませんよ。
Q、アルバイトでもボーナスはもらえますか?
A、ボーナス(賞与)については、労働基準法でいくら払えなどと定められているわけではありませんから、会社が、アルバイトにはボーナスを支払わないということにしているのであれば、残念ながらアルバイトにはボーナスは支払われません。会社によってはアルバイトやパートにもボーナス(賞与)を支払うよう定めているところもあるようです。アルバイト・パートにボーナスが支払われるかは会社次第ということですね。
Q、業績悪化による突然の一方的な減給は許されるのか?
会社からいきなり「最近会社の業績がよくないから今月から給料を下げる」と告げられました。こんな一方的な減給が許されるのでしょうか?
A、基本的にこのようなことは認められません。 労働契約とは、労働者は使用者に対して労務を提供し、使用者は、労働者に対して対価(賃金・給料など)を支払うことを約束するものです。その約束の条件を片方が一方的に変えるようなことは基本的にできません。使用者が事前に同意もなく一方的に賃金を下げることが許されるなら、働く際によい条件を提示して、いざ働き始めたらどんどん給料を減らしてしまうようなことが起きてしまうかもしれません。
業績がよくないので減給をしたいなら、会社は事情を説明し、労働者の同意を得て、労働条件を変更する必要があります。
ただし、労働者からの同意が得られなくても、就業規則に賃金を下げる際の取り決めがあれば、それにより労働条件を変更することは可能です。なお、賃金のような重要な事項を変更する取り決めは、高度の必要性に基づいた合理的な内容である必要があります。
Q、退職時に有給休暇をまとめて消化できるのか?
やっと月末。今月も忙しかった・・・。来月いっぱいで会社を辞める予定なので今の会社で働くのもあと1ヶ月です。さっき気づいたのですが、未消化の有給休暇が30日あるのですが、残った有給休暇を使って来月まるまる休んでしまことは可能でしょうか?「明日から来月いっぱい有休使って休みます」と言っちゃっていいんでしょうか。
A、会社は嫌がるかもしれませんが、基本的に可能と考えます。使用者には時季変更権があるわけですが、来月いっぱいで退社するなら、どうあがいても時季変更権を行使できません。再来月以降に休みを与えようとしてもすでに退職しているわけですから与えることができず、変更しようがないわけです。
とは言え、いきなり「明日から来月いっぱい有休使って休みます」と言われても会社や同僚の方も困るでしょうから、もっと早くに未消化の有休に気づいて、取得を申し出ておくべきだったと思います。法的には休めるとしても会社もなかなか休むことを認めてくれないということも考えられます。余計な労力を使わないようにしたいですね。
Q、信仰を理由に採用拒否することは許されるのか?
私は、○○教を信仰しています。先日ある会社の面接に行った際、ほぼ採用が決まりかけていたのですが、最後に何か宗教を信仰していないか質問され、○○教を信仰していることを伝えると、「○○教を信仰している人はうちでは採用できない」と言われてしまい、不採用になってしまいました。
労働基準法では、信条を理由として賃金、労働時間、その他の労働条件について差別的な取扱を行ってはいけないことになっているわけですが、信仰を理由に不採用になったことはこの差別的な取扱に該当するのではないでしょうか?
A、たしかに労働基準法では、信条(特定の宗教的・政治的信念)を理由に労働条件の差別的な取扱を禁止していますが、上記の制限は、雇入れ後の労働条件に関する制限であり、雇入れについて制限するものではないと考えられています。ですから、会社が信仰を理由に採用を拒否したとしても労働基準法違反にはならないと考えられます。
会社には採用の自由があり、法律やその他の特別な制限でもない限りは、誰をどのような条件で雇うかは会社が自由に決めてよいのです。
しかし、これが雇用された後となると話は変わります。雇用された後に信仰を理由に賃下げを行うなどといった扱いをした場合は、労働基準法に違反すると考えられます。
Q、退職勧奨に応じる義務はあるのか?
私は、定年まであと10年ほどのサラリーマンです。現在、会社では若返りをはかっており、私のような者にはできるだけ早く退職してほしいようなのです。今月、上司から「会社のことも考えて、今年いっぱいで退職してもらえないだろうか」と言われてしまいした。私としては、定年までずっと働きたいと考えていたのですが、退職しないといけないのでしょうか?
A、退職勧奨であれば、あなたに応じる義務はありません。退職勧奨に法的な強制力はなく、使用者側からの労働契約の合意解約の申し入れですから、やめるかどうかはあなた自身が決められます。会社が解雇ではなく、退職勧奨を行ってくるのは、解雇が合理的な理由がなければできなかったり、解雇予告手当の支払いが発生するなどの事情があるからです。辞めなければならないと勘違いして、退職届を出したりしないようにしましょう。また辞める意思がないなら、辞める意思がないことを明確にしておくほうがよいでしょう。
また、働き続けたいが、退職勧奨により会社にいづらくなったので、退職を考えるようになった場合でも、普通に退職するのではなく、退職金の引き上げを要求するなど有利に退職できるように交渉してみてはどうでしょうか。
退職勧奨なのか解雇なのかあいまいな場合は、どちらなのかを確かめてから行動するほうがよいでしょう。
Q、どんなことをしたらセクハラなのか?
私は、45歳男 課長です。先日、会社での人間関係円満のために軽くスキンシップを取ろうと思い、挨拶の際に、部下の女性社員の肩をポンと叩いたところ、セクハラだと言われました。また、違う日に、別の部下の女性社員が恋人とのことで悩んでいたようなので、励ましてあげようと思い、食事に誘ったのですが、これもセクハラと言われました。自分としてはなぜこんなことでセクハラだと言われてしまうのか不思議でなりません。今後のためにどのようなことをしたらセクハラになってしまうのか教えてください。
A、簡単に言ってしまえば、相手に不快感を与える性的な言動をしてしまえばセクハラになるのだと思っておいてください。あなたに悪気があったかどうかは問いません。相手が嫌だと思ってしまえば、セクハラです。人によって、何がセクハラになるのか変わるので、気をつけなくてはいけませんね。
ちなみに男女雇用機会均等法によれば、セクハラは以下の2つに分けられるようです。
1、職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により、その労働者が労働条件につき不利益を受けるもの(対価型セクハラ)
例、肉体関係を迫られ、断ったら減給処分された。
2、職場において行われる性的な言動により労働者の就業環境が害されるもの(環境型セクハラ)
例、上司がベタベタと触ってきて、嫌で仕方がなく仕事に専念できない。
ちなみに、セクハラの相手は女性社員に限ったことではありません。
Q、どうしたらセクハラと言われずにすむのでしょうか?
以前、質問した45歳男 課長です。何がセクハラになってしまうのかは人それぞれで、セクハラと言われない為に結局どうすればよいのかわかりません。どうすれば、セクハラと言われないようになるのか教えてください。
A、あなたは女性社員に対して、いやらしい気持ちを持っているわけではないようですが、あなたにその気がなくても、相手の感じ方次第で、セクハラと言われてしまう可能性があるので難しいところです。セクハラと言われるような可能性がある行動はできるだけしないようにするのが一番ではないかと思います。あなただけに限ったことではありませんが、セクハラと言われないための対策をいくつかあげてみます。
1、苗字に「さん」付けで呼ぶ。
下の名前で呼んだり、「ちゃん」付けで呼ぶと、不快感をもたれる可能性がありますので、注意しましょう。
2、身体的特徴や服装について触れない
胸の大きさ、頭髪などについていろいろ言ったりしないことです。
3、男女二人っきりで食事や出張をしない
たとえ、仕事とは言え、男女二人っきりでの食事に誘ったり、出張の予定を組むのは避けるほうが良さそうです。
4、スキンシップをとらない
肩をポンと叩くだけでも人によっては嫌がられることがあります。エレベーターなど密室の中では、触らないことはもちろんですが、変に疑われても困りますので距離を取って立つほうがよいでしょう。
5、プライベートな話題をしない
相談されてもいないのに、恋愛、結婚に関する話題を振るのはやめておくほうが良いでしょう。
6、個人的な連絡を電話やメールでしない
親しい関係にあるわけでもないのに、個人的な連絡を電話やメールでするのはやめましょう。相手が嫌がっているのに、しつこくデートに誘うようなまねはダメ。
7、肉体関係を持たない
恋人関係でもないのに、酔った勢いでセックスするというようなことはやめましょう。あなたが合意の上でのつもりでも、相手は無理やりされたと感じていることだってあり得るのです。
Q、有給休暇の買取は認められるのか?
私の職場は、人手不足で忙しく、有給休暇を使う余裕がなく、せっかくの有休も無駄になっています。どうせ使わず、無駄になってしまうなら、会社に有給休暇を買い取ってもらいたいのですが、買い取ってもらうことは可能なのでしょうか?
A、有給休暇の買取は、有休本来の目的を失わせるということで、できないとされています。買取を認めれば、お金を払うことで有休を使わせない使用者が出てくる可能性があります。いくら使う余裕がないからといって、買取が許されるわけではないのです。
ただし、例外はあります。
1、法廷の付与日数を超える日数については買取が認められます。例えば、労働基準法では10日の付与日数だが、15日与えているというような場合は、5日分について買い取ってもらったとしても違法にはなりません。
2、時効にかかり、繰越がきかない有給休暇についても買取が認められます。時効前はだめですが、時効になった有給休暇の買取は労働者に不利益になるものではないので可能です。
3、退職時に消化せずに残っている有給休暇も買取が認められます。定年退職するが、退職時に未消化の有給休暇が何日かある。そういった場合も未消化分の買取が可能です。
それぞれの職場における有休の買取の扱い(計算方法など)については就業規則を読み、確認してください。買取が認められる場合もありますが、会社に買取の義務があるわけではなく、就業規則に有給休暇の買取について盛り込むかは会社の自由です。なお、就業規則に何も書かれていないとしても、労使の合意があれば、買い取ってもらうこともできますから、あきらめないでください。
使用者側としては、有休の買取をしなくてもよいような労働環境を整えることも大切です。
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