管理人の未払い割増賃金請求体験談お話します
平成15年1月8日
その日、職場の上司とちょっとしたことでもめてしまい、私はそれまで勤めていたガソリンスタンドやめてしまいました。 もめた原因は私の接客態度が悪かったからです。
ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、ガソリン1リットルの利益は場所によって違うでしょうが当時10円もありませんでした(今もガソリンではほとんどでないんでしょうが・・・)。
みなさんもガソリンスタンドで給油中に「エンジンルーム点検しておきませんか?」といわれたり、オイルやバッテリーの交換をしつこく勧められたことはないでしょうか?
あれって、ガソリンで儲からない分をオイルなどで何とか補おうとしているからなのです。
そのような状況でしたから、ガソリンだけしか入れてくれない方は利益をそれほどもたらしてくれないのです。。洗車などで忙しいときは、給油のみの方は邪魔にさえ感じることもありました。
そのような気持ちで仕事をしているわけですから、当然、接客態度は悪くなります。そこを指摘されてもめてしまったというわけです。 ガソリンはガソリンスタンドでしか売っていないのに何で馬鹿みたいに安売りしなくちゃいけないんだ。ちゃんと適正な価格で売ればサービスだって
自然と向上していくはずなのに・・・。もうこんな業界につき合っていられないと思いやめてしまいました。 今思えば、本当はその日いきなり退職するのは損でしたけどね。
平成15年2月5日
実家に帰るための準備をしていた私は会社がなくなるという話を聞きました。 行政書士事務所開業を控えていたこともあって、私は割増賃金を請求することを決意しました。今思えば、この決意がなければ、私は行政書士を廃業していたかもしれません。
実は会社がなくなるという話を聞くまで請求するつもりは全くなかったのです。会社がやばいという話は以前から知っており、もめて辞めたとはいえ、お世話になった会社ですから、割増賃金なんか請求してこれ以上迷惑かけられないと思っていました。
しかし、会社自体がなくなるとなれば話は別で、請求しようとしまいと、どうせ会社がなくなるなら、貰えるものは貰おうと考え、割増賃金を請求することにしたのです。
その日の夜、私は割増賃金を請求するための内容証明を書き始めました。今、思えば、内容証明じゃなくてもよかったのですが、当時、カバチタレを読んで影響を受けていたこともあり、内容証明で請求することを選んだようです。
さぁ、割増賃金を内容証明で請求するぞ!と意気込んだ私でしたが、いきなり、書こうと思っても簡単に書けるものではありません。タイトルはどうすればいい?字数は?などわからないことだらけでした。 行政書士試験を受かったといっても、試験内容は実務とは程遠いものでした。内容証明の書き方が試験に出てくるわけではありません。内容証明を書くノウハウなんて全然なかったのです。
文例集やカバチタレ!(漫画)を参考にしながら、書き始めてみましたが、書き始めてあることに気付きました。それは・・・
いくら請求していいのかわからない!
ということです。
急に請求しようと思い立ったものですから、割増賃金額を算出するための資料(タイムカードの記録)の準備なし。支給明細票は取ってありましたが、これだと月の合計労働時間はわかっても、細かいところまでわかりません。「請求額もわからずどうしようもないんだろうか」と思いましたが、 こんなことであきらめるわけにはいきません。
当時の自分に持てるものを振り絞って、次のような内容証明を書き上げました。
催告書
貴社は法定労働時間を超えて私を労働させたにもかかわらず、その法定時間外労働に関する割増賃金をいまだに支払って いない。これは労働基準法第三七条に違反している。 よって平成十三年七月から平成十五年一月までの期間におけ る賃金の未払い分を算出しこれを支払え。本書到達後一週間以 内に支払いがない場合は労働基準監督署に通報する。
以上
世田谷区○○○ ○丁目○番○号 齋藤 聡
品川区○○ ○丁目○番〇号 ○○○○株式会社 代表取締役 ○ ○○殿
働いた時間が自分では計算できないので、計算は会社に任せることにしてみました。なお、期間が1年7ヶ月なのは、一度アルバイトをやめて、再度そこで働き始めたという事情があったからです。賃金の時効は2年分ですよ。念のため。
1時間じっくり考えて、作成した内容証明を翌日、郵便局に出しに行きました。
平成15年2月13日
会社から、電話がかかってきました。当然、用件は割増賃金のことについてです。
「内容証明が届いたが、どういうこと?」と怒った感じで聞かれました。やめたバイトから前触れもなく内容証明が送られてきたのですからいい気がしないのは当然ですな。
会社は割増賃金の存在自体を知らなかったようで、話し合いは割増賃金の説明から始まりました。最終的には渋々ながらも支払いに応じてもらいました。このとき、未払い割増賃金の額の計算は、資料をもとに私が行うことになりました。いざ、額を計算してみようすると不明な点があったので、翌日、渋谷の労働基準監督署に聞きに行きました。
平成15年2月14日
労働基準監督署にて、不明な点を確し、いろいろ教えてもらいました。ただし、このとき割増賃金の時間は分単位で計算するということを教えてもらえませんでした。時間を計算するときは、1,2分でも切り捨てずに計算
(1箇月における合計に1時間未満の端数が発生したときは、30分未満切 捨て、以上は切り上げとするのは可能)するのだ。これでいくらか損したと思う。
質問しなかったこと以外にも答えてほしかった。
その日の夕方、割増賃金の額を算出し、提出。なお、休日労働分や遅延利息は計算が面倒だったので含めませんでした。提出後、会社は弁護士に確認したそうです。
請求額は約30万円に及び、1か月分の給料以上の額でしたから、信用できず確認したらしいです。ちなみに一番信じられなかったのは、せいぜい12,3万円にしかならないだろうと思っていた私かもしれません)。
数日後、銀行の融資が止まり、社長が自腹を切って、会社の支払いを何とかしているという話や他の社員の給料を払えるかもわからないという話を聞かされた私は、26万円払ってもらえれば、いいですと伝え、いくらか妥協しました。
払ってもらうときに、「今までがんばってくれたから、払うんだ」と言われました。たぶん、私が、だらだら働き、法律の知識だけで、請求したら、会社は払わなかったのではないでしょうか。
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