労働条件の明示義務

　使用者は、労働契約を締結する際に、労働者に、賃金、労働時間、その他の労働条件を明示しなくてはいけません。

以下の事項については必ず明示しなくてはいけません
１、労働契約の期間
２、就業の場所、従事すべき業務
３、始業・就業の時刻、所定労働時間を超える労働（残業）の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換
４、賃金の決定、計算･支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期、昇給
５、退職（解雇含む）

上記（１〜５）の事項のうち「昇給」を除いたものは、書面を交付することにより明示しなくてはいけません。

　交付する書面の書式は自由です。契約する労働者に適用する部分を明確にして、就業規則を労働契約の締結の際に交付することも可能です。

以下の事項について、労働条件を定める場合は明示しなければいけません。
６、退職手当
７、臨時に支払われる賃金、賞与など、最低賃金額
８、労働者に負担させる食費、作業用品など
９、安全、衛生
10、職業訓練
11、災害補償、業務外の傷病扶助
12、表彰、制裁
13、休職

　６〜１３については、定められていない場合は明示しなくてもよく、以下の事項の労働条件を新設するような必要はなし。

　１〜１３は、あくまで労働者に明示すべき労働条件の範囲であり、労働基準法における労働条件は上記のものに限りません。

　明示された労働条件（１〜１３の事項に限る）が、事実と違う場合は、労働者は、即、労働契約を解除することができます。労働するために、引越しをした労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷するときは、使用者は、必要な旅費を負担しなくてはいけません（家族の旅費も含む）。

　１〜１３の労働条件以外の労働条件についても、嘘や不履行があれば、民法により契約をやめられる可能性はあります。

　正社員に対してだけ明示すればよいというわけではなく、当然、パートやアルバイトにも明示しなくてはいけません。