訪問販売って何?
ここでいう、訪問販売とは、特定商取引法に定める訪問販売のことです。訪問販売と言えば、業者が家にやってきて布団や新聞の勧誘を行うというようなケースがまず浮かんできますが、法律上はそういった典型的な自宅訪問型の取引だけに限らず、下記の要件(1,2)を満たす取引が訪問販売に該当します。
1、契約した場所が営業所等以外の場所
営業所等とは、営業所、代理店、露店・屋台店、その他これらに類する店、一定の期間(最低でも2〜3日以上)にわたり、指定商品を陳列し、当該指定商品を販売する場合であって、店舗に類するもの を指します。
レストランや喫茶店に呼び出され、宝石などを契約するケースがありますが、法律上はそういったケースも訪問販売になります。
契約の場所は店舗でも該当する場合
A、「ちょっと、アンケートに答えていただけませんか?」などと言って、呼び止め、その後、営業所等に連れて行き、契約させたようなとき。(キャッチセールス)
B、「おめでとうございます。あなたは当社のプレゼントキャンペーンに当選されました。プレゼントを取りに来てください。」などと言って、販売目的であることを告げずに、営業所等に呼び出し、契約させたようなとき。(アポイントメントセールス)
C、「今なら、あなただけの特別価格で提供させていただきます。」などと言って、営業所等に呼び出して、契約させたようなとき。(アポイントメントセールス)
2、政令で指定された商品、役務(サービス)、権利に関する取引であること
業者が訪問販売を行うときは、法令で守らなければいけないルールが決められています。ルール違反の勧誘を行う業者とは契約しないほうがいいでしょう。
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訪問販売業者名鑑
訪問販売のクーリングオフ
訪問販売にはクーリングオフ制度があります。ただし、以下のような場合にはクーリングオフすることができません。
A、法定書面を受け取った日から起算して8日経過してしまっているとき
受け取った日から8日経過していなければ、原則として、いつでもクーリングオフできるというように考えることができます。もし、法律で定められた要件を満たした書面をもらっていないようなら、契約してから8日を過ぎてもクーリングオフ可能な状態が続くことになると考えられます。
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クーリングオフ期間経過後のクーリングオフ
B、指定消耗品を使用・消費してしまったとき(ただし、以下の要件を満たしているときのみ)
●交付された書面に「この商品を使用すると、クーリングオフができなくなります」といった旨の記載があること
●消費者が、自分で使って、商品の価値を下げたとき(業者が勝手に開けて、使わせたようなときはクーリングオフ可能)
該当してしまっている場合でも、クーリングオフができなくなる範囲は、同種の商品の通常売られている最小小売単位で考えます。
例えば、健康食品20箱1セットを買い、そのうちの1箱を食べたとき、クーリングオフできなくなるのは、食べた1箱だけです。残り19箱についてはクーリングオフ可能です(業者が、ウチはセット単位でしか販売していないから、クーリングオフできないといわれても法律上はできます)。
C、3,000円未満の現金取引
現金取引とは、契約したときに、事業者が商品の引渡し、役務の提供を行い、消費者が代金全額を支払う取引のことです。
3,000円未満の取引でも、商品が引き渡されていないときや、お金を支払っていないときはクーリングオフ可能です。
D、クーリングオフ適用除外商品であるとき
乗用自動車は指定商品ですが、クーリングオフできません。
E、営業のため若しくは営業として契約を締結するような場合
簡単に言うと、商売するために契約をしたような場合です。
例をあげると、
自営業者が仕事のために使う電話を、訪問してきたセールマンから勧誘を受け、購入したような場合。
F、国内の業者が、国外の消費者と契約した場合。
G、国又は地方公共団体が行う取引である場合
H、組合等の団体が、その団体の構成員に対して行う取引である場合
組合等の団体とは、
生協、農協、共済組合などの特別法による組合
公務員の職員団体
労働組合
I、事業者がその従業員に対して行う取引である場合
J、消費者の方から、取引きしたいと言って、業者を自宅に呼んだような場合
見積もりをしてほしい、カタログを持ってきてほしいと言って、呼んだ場合も含みます。 電話で商品について問い合わせただけなのに、業者がやってきたような場合は含まれません。
K、酒屋・クリーニング店などのご用聞きの場合
L、店舗業者が、過去1年以内にその事業について、1回以上取引きしたことのある消費者の自宅を訪問して、取引きした場合
M、無店舗業者が、過去1年以内にその事業について、2回以上取引きしたことのある消費者の自宅を訪問して、取引きした場合
L・Mにおける過去1年以内の取引きについて、その取引きがクーリングオフで解消されているような場合はカウントしません。
N、事業所の管理者から書面による承諾を受けて、その事業所で従業員と取引きを行った場合
クーリングオフ妨害を受けた場合のクーリングオフ期間の延長
つまり、クーリングオフ妨害により、クーリングオフしなかった場合、業者からあらためて「クーリングオフできる」旨が書かれた書面を渡されない限りは、ずっとクーリングオフが出来るということになります。
不実告知とは
「クーリングオフはできません」などとウソをいうこと
威迫行為とは
「クーリングオフするとブラックリストに載せる」などと言って、不安感をあおったり、困惑(戸惑い困らせること)させること
誤認とは
ウソを本当だと信じてしまうこと
クーリングオフ妨害を受けた場合の被害救済がこれまでより容易になったといえるかもしれませんが、クーリングオフ妨害があったことを証明する必要があります(業者は、クーリングオフ妨害を行ったことを認めない可能性が高いと思われます)。
このルールをうまく活用できるかどうかは、いかにクーリングオフ妨害の存在があったことを証明できるかにかかっていると思われます。