連鎖販売取引って何?
ここで言う、連鎖販売取引とは、特定商取引法に定める連鎖販売取引のことです。以下の要件(1,2)を満たす取引が、連鎖販売取引に該当します。マルチ商法やネットワークビジネスも連鎖販売取引に含まれます。
1、販売員にならないか?と勧誘するときに、特定利益を得られると言って、勧誘し、取引きすること
販売員となったときの販売方式は以下のどれかに該当すること
A、再販売型
上位販売員、本部から商品を仕入れて販売
B、受託販売型
商品の販売の委託を受けて販売
C、販売あっせん型
契約してくれる人を紹介して紹介料などを貰う
D、同種役務の提供・あっせん型
販売だけでなく、リース形式をとるときなども対象となります。
特定利益とは
以下のようなものが特定利益に該当します。
誰かを、勧誘して加入させることで、本部から入会金の何%かを貰える
自分より下位の販売員が購入した商品の代金の何%かを貰える
自分より下位の販売員の売り上げの何パーセントかを貰える
連鎖販売取引組織に参加しない一般消費者に対して、商品を販売して得られる小売利益は特定利益には該当しません。
自分で商品を売るよりも、新しく加入してくれる人を見つける方が、楽して儲けることができるため、販売より、販売員探しに一生懸命になってしまうようです。でも、少し冷静になって考えればわかることですが、販売員が増え続けるなんてことはありえません。
2、契約に金額を問わず、何らかの金銭的負担(特定負担)を伴うこと
入会金、保証金、登録料、再販売をするための商品購入代金などが特定負担となります。
入会時点で金銭負担がなくても、その後、商売を始めるために商品の購入などが必要となるような契約の場合は、その負担が特定負担となります。
訪問販売・電話勧誘販売と違い、連鎖販売取引には、指定商品はありません。
連鎖販売取引を行うときは、法令で守らなければいけないルールが決められています。ルールが守られていないようときは契約しないほうがいいでしょう。
関連リンク
連鎖販売取引(ネットワークビジネス、マルチ商法)業者名鑑
連鎖販売取引のクーリングオフ
連鎖販売取引には、クーリングオフ制度があります(無店舗個人に限り適用)。ただし、以下の場合にはクーリングオフすることはできません。
A、契約書面を受け取った日から起算して、20日を経過したとき
受け取った日から20日経過していなければ、原則として、いつでもクーリングオフできるというように考えることができます。もし、法律で定められた要件を満たした書面をもらっていないようなら、契約してから20日を過ぎてもクーリングオフ可能な状態が続くことになると考えられます。
B、販売方式が、再販売型で、契約書面の交付より、商品の引渡し日が遅いときは、引渡し日から起算して、20日を経過したとき
クーリングオフ妨害を受けた場合のクーリングオフ期間の延長
つまり、クーリングオフ妨害により、クーリングオフしなかった場合、業者からあらためて「クーリングオフできる」旨が書かれた書面を渡されない限りは、ずっとクーリングオフが出来るということになります。
不実告知とは
「クーリングオフはできません」などとウソをいうこと
威迫行為とは
「クーリングオフするとブラックリストに載せる」などと言って、不安感をあおったり、困惑(戸惑い困らせること)させること
誤認とは
ウソを本当だと信じてしまうこと
クーリングオフ妨害を受けた場合の被害救済がこれまでより容易になったといえるかもしれませんが、クーリングオフ妨害があったことを証明する必要があります(業者は、クーリングオフ妨害を行ったことを認めない可能性が高いと思われます)。
このルールをうまく活用できるかどうかは、いかにクーリングオフ妨害の存在があったことを証明できるかにかかっていると思われます。
連鎖販売取引の中途解約・返品ルール
連鎖販売加入者は、クーリングオフ期間が過ぎていても、いつでも連鎖販売契約を将来に向かって解約すること(組織から脱会すること)が可能です。
解約の際、損害賠償や違約金の決まりがあったとしても、業者は下記の金額をこえる損害賠償や違約金の請求を行うことはできません。
商品が引き渡されていない・役務が提供されていない場合
契約の締結・履行のために通常要する費用+それに対する法定利率(年6%)による遅延損害金
商品が引き渡されていた場合
以下の合算額+それに対する法定利率による遅延損害金
ア、契約の締結・履行のために通常要する費用
イ、引き渡された商品(後述の返品ルールにより返品されなかったものに限ります)の販売価格に相当する金額
ウ、後述の返品ルールにより返品された商品に関わる特定利益その他の金品
役務が提供されていた場合
以下の合算額+それに対する法定利率による遅延損害金
ア、契約の締結・履行のために通常要する費用
イ、提供された役務の対価に相当する金額
返品ルール
中途解約ルールにより解約した場合、解約するまでに締結した商品販売契約についても以下のすべての要件を満たしている場合は、解約し、返品できます。
ア、連鎖販売組織に加入した日から1年経過していないこと
イ、引渡しを受けた日から90日経過していない商品であること
ウ、商品を再販売していないこと
エ、商品を使用・消費していないこと(業者が使わせたり、消費させた場合は除きます)
オ、消費者自身の責任で、商品を火事などでなくしたり、壊したりしていないこと
返品の際、損害賠償や違約金の決まりがあったとしても、業者は下記の金額をこえる損害賠償や違約金の請求を行うことはできません。
商品が返品された場合、まだ商品が引き渡されていない場合
商品の販売価格の10分の1に相当する金額
商品が返品されない場合
商品の販売価格に相当する金額