建設業許可関係手続きの知識の記事一覧

経営業務の補佐経験

 昨日、今日と建設業許可のご相談で補佐経験に触れたのでブログにも書いておこうと思います。

 一般に建設業許可を取るためには経営業務の管理責任者の条件を満たした人がいないといけませんが、この条件について、「自営業や会社の役員の経験が5年以上ないとだめだよ」みたいな知識が広く伝わっているようです。

 確かに自営業や会社役員の経験を使って申請することは多いのですが、実際はそれだけに限らず、事業主や役員を補佐していた経験で申請することもあります。許可を取ろうとする業種で補佐していた経験が7年以上あればそれで条件は満たせるのです。

 自営業者を補佐していた経験であれば、確定申告書で事業専従者の欄に名前があることで確認してもらえます。法人であれば、組織図、その他補佐していたことがわかる書面を提示します。

 ですが、法人の場合それなりに大きい会社でもないと組織図とかありませんし、補佐経験を確認出来るだけの十分な資料もないことの方が多いです。そこは役所の担当と協議していき何とかしていくしかありません。

 とりあえず補佐経験は経営経験ほどはっきりとこれで許可を取れます と言えるようなものでもないので、補佐経験を使って申請する前には役所の担当者との事前協議は必須だと思います。

 


営業所を移転したときの届け出

 建設業許可業者は営業所を移転した後、移転したということを届け出ないといけません。法人であれば、届出書に登記事項証明書もつけます。

 新潟県の場合は、新規の申請時に営業所調査依頼というものを行いますが、営業所が移転した場合もこの営業所調査依頼が必要になってきます。

 専任技術者などが新しい営業所にちゃんと通えるのかどうかや新しい営業所はしっかりとした権利に基づいた上でそこにあるのか?実際に営業しているのかを確認してもらうわけです(確認は基本的に書類審査で済みます)。許可を出した時はちゃんと営業していたようだが、移転後は実は実態がなかったでは許可を出した意味が無いので移転の際もチェックということになるだと思います。

 私は新規の申請は結構やっていますが、営業所の移転届ではそれほど経験がなく、今年初めてやらせていただきました。現在2件目が進行中ですが、「結構書類多いんですね」といった感じでお客様に言われました。確かに新潟県での営業所移転は用意するものがちょっと増えているので全国的に見て手間がかかる方なのかもしれません。


営業所調査

 新潟県知事許可申請の際、建設業許可申請書と合わせて、営業所調査依頼書も提出します。

 依頼書には、住民票、健康保険証など経営業務の管理責任者や専任技術者の常勤性が確認できるものと営業所建物の登記事項証明書や賃貸借契約書など営業所建物を使用する権限があることがわかるもの、営業所の外観・内部の写真も添付します。

 写真は以前は一部の地域振興局でしか求めていませんでしたが、2013年の6月からは新潟県内すべての窓口で添付を求めているはずです。

 経営業務の管理責任者などの常勤性は許可の要件にも関わってくるものですから、事前に窓口に確認しておいたほうが良いですし、建物についても、例えば、賃貸借契約書の使用目的において、「住居のみに使用する」となってしまっている場合は、契約書上は営業所としての使用を認めていないのですから賃貸借契約書だけでは営業所確認の資料としては不十分と判断される可能性がありますので、事前に県側で求めている資料を揃えた上で、これで申請を受け付けてもらえるかの確認はしておいたほうが良いのではないかと思います。

 基本的に営業所の調査は書類上のみで行われます。役所の方が現地にまで訪ねてくることはまずありません。

 ちなみに山形県や福島県ではこういった基本的に営業所調査の書類は求めていません(ただしケースバイケースで求められることはありえます)

 富山県では営業所調査の書類はないのですが、実際に役所の方が営業所までやってきて、各種確認していきます。都道府県によって色々と取り扱いが違いますね。


経営業務の管理責任者や専任技術者の常勤性確認

 建設業許可の申請の際、経営業務の管理責任者や専任技術者は経験や資格を持っているかを確認しますが、常勤性も確認されます。常勤性というのは簡単に言うと、ちゃんとその会社で専属で働いているかどうかということです。

 新潟県の場合だと、
・住民票(ちゃんと通える所に住んでいるかを見る)
・賃貸借契約書(住民票が離れたところの場合、会社近くに住んでいて通うことができるかを見る)
・社会保険証(常勤の従業員なら基本的に被保険者になっているから)
・直近3ヶ月の出勤簿の写し(実際に常勤で出勤しているかを見る)

 などで確認します。住民票以外は、該当がある場合のみ提出となっています。

 以前は、社会保険に入っていなかったり、出勤簿もつけていない場合は、なければないで書類を受けてもらえたこともありましたが、最近は、ない場合は代わりのものを提出してください という方針に変わってきたと思います。つまり常勤性の確認が前より厳しくなったのでは? と感じています。

 社会保険証がなければ、建設国保の保険証や雇用保険者証を出す。作ったばかりで間もない会社の場合、出勤簿がなければ雇用契約書を出すなど、例示されているものがなければ、代わりのものを求められると考えておくほうが良さそうです。

 建設業許可の条件チェックでは、つい経験があるか?資格があるか?といった点にばかり注目しがちですが、常勤性の確認(申請する側から見れば、どう証明するか?)も忘れてはいけない点です。


身分証明書

 建設業許可申請の際、事業主の方や法人の役員の方の身分証明書を添付します。

 一般に身分証明書というと運転免許証や保険証を思い浮かべますが、建設業許可申請で添付が求められているのはこれらではないので注意が必要です。建設業許可申請で添付する身分証明書は、本籍地がある市町村にて発行してもらいます。身分証明書という書類がちゃんと存在していますので、それを取得します。どこの市町村でも戸籍や住民票が取れる窓口で取得できるはずなので詳しくは各市町村の窓口にご確認ください。

 代理で取得する場合は、委任状が必要ですが、市町村によっては請求書に委任状の欄もあり、そこにご本人に書いて押印して頂ければOKというところもある一方で、別途委任状も持っていかなければいけないというところもあります。取得しようとする市町村によって取り扱いに違いがありますので、代理で習得をする場合は事前に確認しておくのが良いですね。

 


登記されていないことの証明書

 建設業許可の申請にあたり、事業主や法人の役員などの登記されていないことの証明書を添付しないといけません。これがどのような書類かといいますと、簡単に言えば、この証明書に書かれている人は、判断能力が不足しているなどの事情で登記されている人達の中には見当たりませんでしたという書類です。

 この証明書は、各地の法務局・地方法務局で取得できますが、本局に限ります。例えば新潟なら新潟地方法務局で、山形なら山形地方法務局で取得できます。新潟の人が新潟でしか取れないわけではなく、山形など他の都道府県でも取れます。

 法務局まで近かったり、近くに行く用事があればよいですが、そうでない方でも、東京法務局後見登録課に郵送で請求することもできます。私は行政書士登録をする際に自分の証明書を郵送で請求しましたが、業務で取得する場合は、全て法務局まで行って取得しています。

 ご本人が行けなくても委任状があれば私でも取れますので、委任状を頂いた上で、取得してきています。委任状はチェックが厳しいところもありますが、新潟地方法務局の場合は、ここだけの話ですがそんなに厳しいことは言われないと思います。実印でなくても構いませんし、印鑑証明書の添付も必要ありません。


事業税の納税証明書

 知事許可の場合、建設業許可申請や決算変更届の際には事業税の納税証明書を添付します。仮に赤字の会社であっても添付しますが、まだ決算期を迎えていない会社の場合は新規の申請時は添付は不要ということになっています。

 この事業税の納税証明書ですが、新潟県の場合、各地域振興局の1Fにある県税部で入手できます。私はどこの地域振興局にも納税証明を取得できる窓口があるものだと思っていたのですが、魚沼地域振興局のように納税証明性を取得できる窓口がないところもあるので注意が必要です。

 取得には400円の県収入証紙が必要です。同じ建物内の売店で証紙が買えることが多いですが、村上地域振興局のように建物内に売店がないときは近くの銀行や信金で購入していきます。

 新潟県の納税証明書であれば、県内のどこの窓口でも取得が可能です。新発田の方が、新潟地域振興局の近くによったついでに新潟で納税証明を取るということも可能となっています。

 請求の際、代理人が取得する場合は委任状と印鑑証明書が必要ですが、法人の従業員が取得する場合は、代表社印が押印されていれば、従業員であることが分かる書類(保険証など)と運転免許証など身分を証明する書類を持っていけば取得できます。

 行政書士の場合も個人の実印や法人代表者印が押されていれば、委任状無しで取得できます。申請と同じ建物内で取れるケースが多いので、弊所の場合は、手続きご依頼の際は別途手数料をいただくことなく納税証明書の取得も代わりに行っています。

 


残高証明書

 建設業許可申請にあたり直近の貸借対照表で純資産が500万円以上ない場合、金融機関発行の残高証明書又は融資証明書を提出します。実際は残高証明書を提出するケースのほうが多いと思います。

 この残高証明書ですが金融機関によって違うので詳しくは窓口に確認していただきたいのですが、残高を500万円以上にしたその日のうちに500万円以上の残高証明書を取ることができません。500万円以上にした上で翌営業日以降に取得します。

 残高証明書さえ取得出来ましたら、お金はすぐに引き出してしまっても構いません。許可の審査中ずっと口座に入れて置かなければいけないものではありません。ですから残高証明書取得のために親族、知り合いから一時的にお金を借りたいという場合は、ここらへんの事情(借りるのはほんの数日で良いし、口座に入れるだけだから基本的に危険性もない)も説明されるとよろしいかと思います。

 残高証明書の取り扱い注意点としては、有効期限が有ることです。窓口によって違うので確認していただきたいのですが、新潟県だと2週間から1ヶ月、山形だと3ヶ月有効という窓口もあったと思います。

 あまりに早く取りすぎるとまた取り直しのおそれがあるので、資金繰りの都合などでどうしてもこの日でなければ残高証明が取れないといった事情がなければ、ある程度役所との打ち合わせが終わり、申請の目処が付いた段階での取得をおすすめします。


確定申告書の控えがない場合

 建設業許可申請において経営経験の証明書類として個人事業時代のものであれば確定申告書の控えがあるわけですが、確定申告書をなくしてしまった、あるいは郵送で申告したので税務署の受付印が押された控えをそもそももらっていないということがあります。このようなときはどう対応していけばよいでしょうか。

 私の過去の経験では、新潟でも山形でも税務署の受付印がない控えの場合、受付印がないからダメと言われたことはありません。ただ、受付印がないためそれを補完するために過去の請求書などを添付したことはあったかと思います。

 過去の確定申告に関するものが自分の手元に全くない場合は、管轄の税務署に開示請求することで、過去7年分(それより前だとおそらく残っていないと思います)は確定申告書の写しを入手することができるはずなので、これを利用すればよいかと思います。

 実際に依頼を受けた案件で開示請求をした事例はないのですが、必要になりそうだったので確認のために税務署に手続きについて確認したことはあります。もし、必要になりそうなときははやめに税務署の担当窓口に確認されることをおすすめします。請求書を出したからその場ですぐに開示してくれるというわけではなく、開示・不開示が決定するまで原則として30日以内ではありますがある程度の日数がかかります。


どうしようもないときは引っ越すのもありかもしれない

 何度も窓口の担当者と協議したけれども、申請を受け付けてくれない。

 そういう状況になったとき、実際に提案したことはない(そういう状況にならずに申請できている)のですが、選択肢の一つとして、引っ越して申請先の窓口を変えるというのもありかもしれません。

 同じ新潟県内でも取り扱い(というか審査が厳しい人、甘めな人がいると私は実感しています)が変わることはありますし、増して県外なら新潟県以上に変わることも有るでしょう。もちろん、引っ越す前に引越し先の窓口と事前に打ち合わせておかないといけませんが(引っ越してから申請受け付けられませんでしたでは話になりませんから)、どうしても建設業許可が欲しくて、そのためなら現場に通える範囲でなら営業所の移転もやむをえないとお考えでしたら、引っ越してから許可申請というのもありだと思います。

 ちなみに県をまたいだ移転だとまた戻るときに許可の取り直しとなりますが、同じ県内なら営業所の移設の届出ということでOKです。